【映画】ふがいない僕は空を見たはもっと評価されるべき!

映画「ふがいない僕は空を見た」を鑑賞しました。

ちょっとネタバレを含んだ感想です。

窪美澄さんの小説を映画化したものですね。

この作品、現代社会の問題をこれでもかってくらいに詰め込んでいます。

不倫、不妊、いじめ、同性愛、貧困、介護など。

田畑智子さんが脱いでいるとか、リアルなベッドシーンが話題になりがちでしたが、この映画はそれだけで済ませてはいけないと思います。

では映画「ふがいない僕は空を見た」の感想を記しましょう。

あんず(里美)と卓巳

主婦の里美と高校生の卓巳は、同人誌即売会で知り合う。

アニメキャラのコスプレが趣味の里美は、卓巳と一緒に写真を撮る。

写真を送るために連絡先を教え合い、自宅が近所とわかったこともあり2人きりで会うように。

里美が好きなキャラクター「むらまさ」の衣装を卓巳に着てもらうと、思っていた以上に似合うと喜びます。

里美のほうから誘って2人は深い関係に。

この馴れ初めがすでにアニメっぽいんですけど(笑)

里美は専業主婦で、姑から子供を産むように急かされる。

不妊の原因は里美だけでなく、夫の慶一郎にもあるのですが姑は認めない。

慶一郎自身もそんなに子供を欲しいと思ってない感じもありましたけど。

強いストレスを感じ、その反動で卓巳に強く惹かれていく。

このテーマだけで一作品できるくらい深い。

不倫はダメだけど里美の苦悩も情状酌量の余地あり。

卓巳の母が自宅で助産院をやっているという皮肉な設定も対比させてる。

なんといっても姑役の銀粉蝶さんの演技最高。

息子可愛さに嫁いびり。

福田良太の闇

まだ脇役俳優だった窪田正孝が好演。

団地で認知症の祖母と暮らす高校生。

もうこれだけで重い!

母親は物語終盤で登場しますが、これまたクズすぎる。

祖母は別れた夫の母だから面倒みる義務ないしー、と現在の恋人と暮らす。

しかも借金まみれで息子の生活費すらもロクに出さない。

良太はよくぞ高校生まで育ったなと思う(苦笑)

卓巳の母の気遣いで弁当をもらうも、施しを受けることを嫌い捨ててしまう。

それなのに「弁当いつもありがとうございます」なんて言っちゃう。

卓巳の誹謗中傷ビラをバラ撒くのは、自分より不幸な人を見て楽しんでいるという描写かな。

窪田正孝が絶妙に暗い表情を出すので、良太の闇の深さが良く現れていた。

田岡の闇

良太のバイト先にいる田岡。

医者の家系で本人も優秀なようだが、なんでコンビニバイト?

良太の女友達の純子が怪しいと気づいていましたが、歪んだ性癖があると後に判明。

良太に勉強を教えてあげると近づいてきましたが、どこまで下心があったのか?

男児に対するわいせつ罪で逮捕されたので、良太は対象外だったのではないかと思う。

単純に助けてあげたかったように見えた。

もっと小さい子が好みなんじゃないかな。

いわゆるショタコンってやつな。

田岡自身も自分はおかしいと認めているけど、単なる同性愛者であるならこんな言い方しないよね。

行き過ぎた自然派志向

卓巳の母、寿美子の助産院に来た妊婦。

妊娠前から無農薬野菜を食べているとか、自然に産みたい病院で産みたくないとこだわりが強い。

緊急帝王切開となって「私、母親失格」と泣く。

ヤバイです、毒母になっていそうなキャラだった。

自然に生まれてこれなかったとの理由で、子供を可愛がらないんでは?と嫌な予感がしますね。

そこまでの描写はなかったですが。

これもまた現代にありがちな問題。

なんでも自然、自然と言って不衛生なことしてたり、危険なことしちゃうのが時々話題になってますね。

手作りの目薬には恐怖すら覚えますけど。

普通分娩ではないことを否定するのもいただけない。

「帝王切開は楽でいいわよね」と発言する人と同じ思考ね。

全然楽じゃねえからな!(経験談)

内臓に達する傷を作って楽なわけない。

予定帝王切開なら産まれる日が決まっているので、そういう意味では「周囲が」楽ですけども。

寿美子が本音を漏らしていますが、死んで生まれてくる子、生まれてすぐ死ぬ子が現代でもいるんだよ。

普通に自然に生まれることは当たり前じゃないんだよ、とメッセージ性が強い。

里美は離婚した?

はっきりと描かれていませんが、浮気を知った慶一郎は里美との離婚を拒否。

離婚したら動画をバラまくと脅していました。

結果、バラまかれてましたね。

ということは、里美が離婚を申し出てそれを貫いたということ。

これもまた現代ならではの問題です。

卓巳のほうがダメージデカかったんだけど(笑)、それを知った寿美子は「バカねぇ」と呆れるだけ。

不倫相手になった卓巳も悪いけど、未成年と関係を持った里美のほうが悪いからね。

里美は名誉毀損で訴えてもいいんだけどさ、原因作った側だから裁判になったら負けるのかな。

映画「ふがいない僕は空を見た」感想まとめ

いろいろ問題提議を詰め込みすぎた感じもあるけれど、考えさせられるところもある映画だと思うのです。

タイトルの「ふがいない僕」の意味は、自分の不貞を認めると同時に里美を不幸にした責任を感じているような。

過激な性描写があるので、見る人を選ぶかとは思います。

タナダユキさんの監督作は他の作品でも、すっきりしない終わり方だけどキレイにまとまっている印象。

私はこの作品、わりと良作だと思います。

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